6月29日は鶴見大学歯学部教授の花田信弘先生の講演会に参加しました。
花田先生は探索歯学講座という教室に所属されており、
予防歯科の様々な書籍を出版され、テレビなどのメディアにも多数出演されています。
当院は診療の中心に予防歯科を据えており、
先生のお話は当院のシステムを作る上でも大変参考になるものでした。
たくさんの興味深いお話がありましたが、
その中でも2つのお話がとても印象に残りました。
・虫歯、歯周病、不正咬合は、人類の主食の変化に体が対応できずに発生したものである。
・口腔内細菌は菌血症(血液に細菌が入った状態)の原因となり、全身疾患の原因となる。
旧石器時代には狩猟、採集により食物を採取していました。
これらの食べ物は口腔内細菌が餌にすることができませんでした。
しかし、農業で穀物が主食に変わったことで、口腔内細菌は多くの餌を得ることとなり、
その結果、虫歯や歯周病の原因となる細菌が増えることとなったのです。
食生活を旧石器時代のものに戻せば口の中の病気は無くなるかもしれません。
でもそれは、難しいでしょう。
そこで、現代の食生活を継続しつつ、口腔内の環境を整えるために歯科医療が必要なのです。
口腔内細菌は、口腔内の病気の原因になるだけではありません。
細菌は血液の中に入り、全身に運ばれます。
そして様々な場所で慢性炎症を引き起こし、その慢性炎症こそが、病気の原因となるのです。
痛くないからといって口の中の細菌がどんどん血液の中に入っていく状況を放っておいたら何が起こるでしょうか。
血液に入った細菌が原因となり、気づかぬ内に大きな病気にかかってしまうかもしれません。
私たち歯科医療者の仕事は、患者さんのお口の健康を守ることです。
しかし、私たちはお口の健康を通じ、全身の健康をも守ることができると信じています。
そのために、日々新しい情報を収集し、皆様に還元したいと思います。